満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/21 (木) 14:00
座席1列4番
病理学者トーマス・ハーヴェイ、脳疾患者ヘンリー、臨床神経心理学者のマーサ。それぞれを、志村史人、野々山貴之、安藤みどり、が演じる、超時空間軸の脳と記憶の物語。
保亜美は、さながら1人コロスか時空を跨ぐ観察者か。
そもそも、脳って何をするところ?脳が記憶や認識のすべてを仕切っているの?記憶は本当にアイデンテティを司るものなの?そんなことを考えさせながら、個として生きる人間について洞察する芝居。
こういう脚本と、こうした演出、このような演者に出会える喜びは、そうなかなかない。
説明書にはほとんど興味持たずに、タイトルだけに興味を持って観に行った。「何者でもない者」
意識的、無意識的にかかわらず登場人物たちが翻弄される「脳」の存在。3つの物語が錯綜ながら、そして交わらずに進行していく。
場面転換を演技だけで行い、4人21役で進行する舞台は、テンポといいリズムといい、とても心地よい。それも、ちょっとした驚きを小刻みに招きながら。例えば、30歳ぐらいのジャーナリストが、突如80歳の脳疾患者に変わる瞬間。何かが憑依したように、場面が変わる。
保亜美さんが、アフタートークで、この舞台は終わった後に、しばらく自分を取り戻すのに時間がかかる、という旨の話をしていたけれど。さもありなん。それくらいの技巧と熱量を要する芝居なのだから。
2019/12/09 11:30
タイトルに興味を持たれて…という事でしたが、
この作品と出会って頂けて本当に嬉しいです。