満足度★★★★
初のユニット、名前の間に「1」が入っていないのを確認し、チラシの演目を見て色めいた。女優は、知らない。女優だけの芝居だが一人も知らない(俳優に疎い自分ゆえ揶揄ではない)。これは面白そうである..と萌えた。
T-PROJECTは2011年立ち上げ、今回で14回目。俳優が立ち上げた企画制作ユニットにしては、年1、2回一定レベルの公演を打ち続けている例は稀ではないか。後で調べるとこのユニットを支えるもう一人が出演しており、なるほどと納得(何を納得したかは省略)。
さて「8人の女たち」、2002年の仏映画を見たが、ミステリーをじっくり味わうというよりスタイリッシュな編集の才を見せられたという個人的な感想。従って初めて観る気持ちで観た。参照はむしろ数年前見た同作者の「罠」(俳優座劇場だったか)。フランス産の「笑い」と「毒」の混じり合う計算されたミステリー。今回の作品も同様ではあるが、結論的にいえばこの作品は謎解きもさる事ながら、人間模様を味わうドラマだと言える(ミステリーのみで勝負しづらい演目ゆえ重心を私が勝手に移しているだけかも、だが)。その意味で演目じたいが難物。人物や関係性のリアルとカリカチュアの区分け・バランスが極めて難しそうだが、初日はどちらかと言えばリアルに寄った印象。8名とも実力ある女優達で各場面楽しめるが、そこはかと立ち上る関係性の図(年齢差や姉妹・親戚・姻戚・主従といった)がもっと感じられたかった。
大きな謎解きを終えた後、結末が訪れるが手前で読めてしまう所がある(映画の記憶でもないと思う)。読めるのは良いのだが、この結末をみた観客がそこで一気に腑に落ちるには、人間関係に苦慮する私たちの現在と重なる要素が必要に思う(それが何であるかは判らないしこのテキストでその側面をみせるのは難しいのかも知れないが)。
回を重ねた分だけ熟しそうな舞台である。