満足度★★★★
鑑賞日2019/11/14 (木)
北池袋・新生館シアターにて演劇企画アクタージュ『shoes storys』を観劇。
今回は童話に登場する靴を取り扱っているという不思議な靴屋さんと、そんな靴屋を見つけてしまったとあるデパート従業員達のお話。童話の靴と聞いて真っ先に思い浮かぶのはやはり「シンデレラ」のガラスの靴ですが、今回の作品はその「シンデレラ」ストーリーだけでなく、他の童話のストーリーが登場するのが面白かったです。先月に拝見したミュージカル団体・ヒラオカンパニーさんの作品も様々な童話の登場人物達が一つの舞台上に集結する場面があり、その発想力の豊かさにあっぱれでしたが、今回のアクタージュさんも同じような感情を抱きました。誰もが知る有名童話の掛け合わせ。うん、これは面白い!今回は「シンデレラ」×「○○○」のストーリーが軸となる組み合わせでしたが、これ他の作品でやってみてもまた思わぬ新展開が生まれそうでなかなか興味深いなと感じました。ちなみに今回の作品において、後者の「○○○」の靴の正体が明らかになるのは、まさに物語のラストシーン。そこまでは何の靴であるか基本的には伏せられているので、観る側にとっても色々な可能性を探りながら楽しむことが出来、一体どんな展開になっていくのだろうと終始ワクワク感が止まらなかったような気がします。登場人物一人一人のキャラ設定も実に個性的、且つ物語の進行に深く絡んでくるものであり、描き方が上手いなと感じました。
アクタージュさんの作品観劇は今年2月の『福寿庵』以来9ヶ月ぶり4作品目でしたが、毎回感じるのは作品の面白さと空間の温かみ、さらに決して大規模な装置ではないものの、作品の背景が見えやすい的確な舞台セット(前作の蕎麦屋のセット、今作のデパートの従業員控室のセットともに雰囲気出てました)が作り出すリアル感です。今回は内容自体は非現実的なお話ではありましたが、何となく日常的な光景にも見えるような不思議さがありました。強いて挙げるなら、靴屋さんの登場シーンはスモークを用いたり特殊な照明にしたりなど、もっと謎めいた変化が欲しかったかなと感じました。とは言え、靴屋を演じられた菅政美さんの独特な語り口はなかなか味がありましたし、世界観に引き込まれました。思ったことが言えないけど素敵な夢を持っている役を演じられた未来さんも表情が絶妙で好演であったと感じました。主宰・大関雄一さんは何故オネェ役?と思わず笑ってしまいましたが、物語進行上、オネェ言葉が重要なポイントであることを知って納得。細かい部分までよく出来た作品だと感じました。