晴天〜せいてん〜 公演情報 劇団黒胡椒「晴天〜せいてん〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     「風」を拝見(追記11月12日14時半)

    ネタバレBOX

     本日は楽屋を通って会場内に入った。ちょっと普段とは違った場所から入ると、それだけで嬉しいのは自分の子供っぽさなのだろう。本日は風を拝見。シリーズ物故、他の作品で詳しく語られる物語もあるとのことなのでできればシリーズ総てを拝見したい所だが、諸般の事情で中々そうもゆかぬ。板上客席側はフラット。仕切奥は電子ピアノ、パーカッション、ウッドベースにギターの生演奏が入り、歌い手も一人居る。また演技空間は板上のみならず、照明などの装置がある回廊部分正面も用いられる。
     物語は貧しい山奥の農村を舞台に、貧しさの齎す絶望からか、実の娘(朱音、紫音)を苦界に沈めようと図り、女房・貴恵には暴力を揮い、而も己は働きもしないだらしない家長・宗清と、法の網から漏れ落ちた極悪人成敗の為に天界からの命令を受け、派遣された仕置き鬼達による処罰決行、この男の長女・朱音とその恋人・蒼依との悲恋を軸に展開する。
     サブストーリーに捨て子兄妹(叉紺・桃香)と、朱音の妹・紫音の蒼依への思いが絡む。
     時代背景はハッキリしないが、村人の衣装は和服であり、村祭りが貧しい暮らしの中で重税に苦しむ庶民を描いている点では、現代日本にも通じるものが在るのは無論だ。祭りも当然のことながら、民衆の積もり積もった不服のガス抜きである。唯極貧の村で、娘を苦界に沈めねばならぬような暮らしを描くのであれば、鳴り米(竹筒に米を入れ死に際にある者の耳元で振って米の音を聞かせる道具とその行為を示す)を用いるようなシーンを入れるとか、宗清が酒に溺れた原因をハッキリ示すとか、或いは為政者と国家の関係に対する民の関係分析を少しキチンとやった方が良かろう。為政者達は、国という共同幻想を梃に民から絞れるだけ絞ることしか考えてはいない。実体は為政者達が己らの懐を肥し、権力、富、権威を掌中に収めんが為の単なるテクニックに国という緩衝装置を用いているに過ぎず、民はこの罠を見抜けないばかりか、絞るだけ絞られているにも拘らず、為政者をお上と崇め支持しているのだ。これこそ、現在、我々の国でも進行している現実そのもの。

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    2019/11/12 12:13

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