満足度★
鑑賞日2019/11/06 (水) 19:00
座席A列6番
価格3,420円
感想は書くまいと思っていたが、一言だけ。
初日を拝見したが、話にならないと思った。理由を以下に示す。
①ウイグル自治区の問題
「そもそもウイグル自治区って遠い出来事だ」という客観的な視点があるはずで、それをいかに身近な題材にするかを工夫すべきなのに、ド直球で演じようとするので、感情だけ先走って周りが見えてないと思った。Twitterでは「重たいテーマだった」という感想がやたら目についたが、重たいかどうかなんてはっきり言ってどうでも良いと思う。それがそこにいかに身近な問題として感じられて、「私たちの問題」として実感できるかどうかに掛かっているのだと思う。
「重たいテーマだった」という発言の裏にはそういう言葉は決して出ないと思う。決して他人事ではない、私の日常にも潜んでいるし、共感して観られるはずだと私は思う。
にもかかわらずラスト終盤で永田さんが「確かに伝わらないかもしれない。でも目を背けたくないんです!」とピュアなことを言い出すものだから、おいおい手法を選ばなくてはと思ってしまった。とある知人が「東京ハンバーグはEXILE芝居だ」と聞いたことがある。私はそれを観たことが無かったが、今回初めて拝見してEXILEと言われても仕方無いと思った。確かに泣かすテクとか台詞の技術は上手いかもしれないが、そこに流れる思想や作者の世界観が感じられず、共感して観られるものでは無かった。
他にも寓話劇とは言え、言語の壁や204?年という比較的近い設定であるにもかかわらず、なぜ極端なSF的な世界観を敷いたのか、どうしてこうなってしまったのか、そもそも人間のクローン技術って近い未來なのかどうかさえ、作者の世界観が見出だせなかった。
……とまぁ色々言ってきたが、今なおウイグル自治区が平然と弾圧を行われてきたことに震撼するし、よくぞ書いたと思う。中国の話題になると「でも一見成長著しいけど、ウイグルのこともあるしね」とフツーに思ってしまうわけだから。タブー視されるのが不思議でならないし、憤りを感じてしまう。
そろそろ近所の中華料理屋で話題にしてはどうか?「中国って卓球強いですよね~、ホントに…ところでちょっと芝居観てきたんですけど、ウイグル自治区って知ってますか?」と。そこから話題が生まれ、何かが変わる。非常に小さいことだけど、まずはそこから。演劇の役割はそれしか無いのだと思う。
いっそ横浜中華巡りとか始めませんか?