満足度★★★★
鑑賞日2019/10/31 (木) 19:00
3年間で3部作。ついに「満州国演義」終幕。他の皆さんが書いておられるように、3部は、ちょっと端折り切った感が大きい。第1部2部と太平洋戦争に近づきつつある緊張感を、敷島四兄弟の行動で割り付け、曲木の暗躍が4兄弟の横糸として綴じこみながら丁寧に描いていただけに、正直もったいない。なにせ、この第3部では、兄弟の心情が全く描かれていない。それもそのはずで、2時間で二二六事件から終戦まで一気に描こうとすれば、事実を追うだけで手いっぱいだ。
そこに敷島兄弟の顛末とその周辺も描き、伏線の回収(特に、敷島兄弟と間垣の関係)をしようとすれば、それは無理というもの。とはいえ、4年で4部作というのも、興業的にも無理が大きいだろうから、やはり、第1部から2幕3時間くらいの幅で上演するのが、望ましかったのだろうなあ、と今更ながら思う。(実際には、2時間の舞台でも、その丁寧な人物描写ゆえに、3時間くらいに感じたのだが)
あの活躍著しかった犬さんも、序盤であっけなく殺されちゃって、余韻に浸る暇もない。第1部や2部では描かれた、政府の要人描写や政権内部の暗闘もなくなってしまったし。(226事件も、北一輝がちょこっと出てくるけれど、後はナレ死だし。)
とはいえ、端折ったことで物語が破綻したということはなく、スポットの切り替えや人物の移動でてきぱきと見せる場面転換は見事という他ない。まあ、とても薄味になったということか。