終わりのない 公演情報 世田谷パブリックシアター「終わりのない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    イキウメの大劇場登場である。昨年の東京芸術劇場では素材は借り物だったが今回は、抽象概念をドラマにしたいかにもイキウメらしい内容だ。これが面白い。
    イキウメを見慣れている客は、また、パラレルワールドか、と思うが、今回は大劇場向けに世界も広がって、主人公の「意識」が宇宙を飛ぶファンタジーである。個人に対立するように外に設定されていた異次元の世界は、今回は人間の内面に置かれていて、今までと一味違うドラマが展開する。何よりも新鮮なところがいい。
    宇宙遊泳を思わせる宙吊りの冒頭から、水中の溺死の経験と、個人の意識がドラマの軸だと売ってくれてはいるが、中段の量子論から、出口の外にある遊星のシーンになると、論理的にはついていけなくなりそうになる。だが、かつて、野田の芝居が、なんだか解らないけど泣ける、と言われたように、その解りにくいシーンもセリフや衣装につられて見ていれば十分面白い。そしてラストになると、現代の課題に立ち向かう勇気をもらったような気分になる。その証拠に、中年のおばさん(が今一番芝居の見巧者という説もあるが)も多い観客が水を打ったように見入っている。
    仲村トオル、村岡希美、それに主演の山田祐貴の客演組がが、イキウメのメンバーの小劇場っぽさを大劇場へと誘導する巧みなキャスティングだ。美術、照明、衣装、効果もいい。堂々とイキウメの世界を押し出して成功している。
    野田、ケラ、松尾スズキに次いで、久しぶりに、個性的な創作劇を大劇場で20回を超えて見せられるカンパニーが現れたことを喜びたい。休憩なしの二時間。

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    2019/10/30 23:29

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