満足度★★★★★
■約105分■
短編集でありながら、全体が“生死”というテーマで貫かれ、とてもよくまとまっていた旗揚げ公演。今回、そこまでの一貫性はなかったものの、全五編中、三編が優れた出来映え。
うち一編は、不可抗力により日に日に意思疎通が難しくなっていく夫婦の悲しみを描いた吹原幸太脚本・演出『ミニマム』。そしてもう二編はともに小岩崎小恵脚本作品。本人演出による『君を守る千匹の犬』も、吹原幸太演出による『あなたのいない人生なんて』も、“人間、この奇なるもの”へのやさしい眼差しが感じられて、観終わった後、胸がじんわり温かくなった。
小岩崎さんという人は、善悪という尺度なんかじゃ測りきれない、複雑怪奇にして滑稽至極な人間というものに、ゾッコンなのだなぁ。
第三回公演は一本モノを期待。長編を仕上げるのは短編をものするよりもずっと大変だろうけれど、今回示された脚本力を持っていながら長編に挑まないのはもったいない気がしてしまう。