満足度★★★★
どこか懐かしい感じのする劇団である。地方、それも(確か)なじみの薄い岐阜で三十年余。
すると、初めて見たときはまだ昭和だったのか。最初は、この時期、流行っていたSFやファンタジーを、独特の調子で日常生活にかませた作品で、当時、大袈裟なタッチがはやりだった東京の小劇場の中でも、存在感があった。
それはちっとも変っていない。今回はタイトルそのままの通夜もの。場面設定は時代に合わせてはいるが、中身は変わらない。北村想が、ユニークであり続けているように見えながら、変わっていくのに比べると、はせは不動のドラマ世界である。こういう演劇を支持し続ける名古屋の風土には、東京・大阪と違う独自の伝統があると感じる。それがよくわからないところも名古屋的なのかもしれない。はせは、そんなことはない、見たままです、と言うかもしれないが、そこが名古屋の深さであろう。初日のアゴラの夜はほぼ満席だった。