『humAn』 公演情報 劇団夢幻「『humAn』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     タイトル表記が小文字で始まっている所が意味深。

    ネタバレBOX


     脚本は感じた通り女性のようである。伝えたい思いは無論理解できるつもりだが、余りにも技術的なレベルでの勉強が足りない。少なくとも科学が関わる人体改造に関する物語である。SF要素が絡んでいるのであるからオートマタを説明する科白でからくり人形は許されまい。その程度の技術レベルと脳を剥製レベルで維持するという比喩自体ナンセンスである。脳は例えば心肺停止レベルから秒単位で破壊される。新鮮な呼気が脳に供給されない限り脳細胞が破壊されるからである。人間の脳の大きさは約150ml、重さに換算すれば荒っぽく1.5㎏程度か、日本人男性の体重平均は調べるのも面倒だから調べていないが仮に60㎏だとしよう。40分の1が脳の重さということになるが、使用するエネルギーは、人間一人が使用する全エネルギーの20%である。このことだけからも明らかなように、そして精神が肉体を支配するという考え方が殊に西洋文明に顕著に現れたように脳は極めて特殊でデリケートな器官であり、今作のような形で描かれる為には、千歩譲って剥製化した脳がかなりキチンと機能したとして、語られているからくり人形という技術とどのように具体的にリンクできるのかが作家の頭の中でキチンと組み立てられていなければならない。それができないならば、演劇的には、完全なファンタジーにして魔法というレベルで話を構築すべきであった。ただ、それでは現実にコミットできないという懸念が作者にはあったであろうが。そこが理詰めである必要があるのは、当然のことである。
     この辺りのギャップを埋めることができればかなり面白い作品になろう。舞台美術、照明、ダンス各々キチンと独立して各々の技術だけでそれなりの評価を受けることができようし、関わっている人々個々人の誇りも自分の評価に見合ったものであると思う。何れにせよ、頑張って欲しい劇団である。

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    2019/09/01 06:23

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