今日もわからないうちに 公演情報 劇団た組「今日もわからないうちに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    元宝塚トップスター大空ゆうひさん主演の傑作。個人的には三越劇場版『壁蝨』以来の衝撃があった。中二の娘役の池田朱那さんに見覚えがあったが、矢張『壁蝨』にて主人公の娘に苛められる役として出演していた。た組の申し子のような台詞回し。天才なのでは?池田朱那さんの全く違う役での演技を観てみたい。
    物語は旦那と奥さんと娘のごく普通の一家の風景から始まり、奥さんが記憶障害を突然発症。少しずついろんなことを忘れていく。優しい旦那の介護とそれを知らされていないが故の娘の怒り。
    ほぼすっぴんの大空ゆうひさん(篠田麻里子さんに似ているような)が素晴らしい。ただそこに佇むだけで観客の『母なるもの』への記憶を呼び起こし、時には舞台をぐるぐるぐるぐる駆け回る。旦那役鈴木弘介氏の台詞は絶品。『早く行かないと、なので』など細かいニュアンスのセンスに唸る。演者以外舞台に上げない為、セットや小道具を動かしていくのも役者自身。集中力が途切れない。
    クライマックス、夜の公園での母娘の会話。至極の名シーンであった。この遣り取りを観れただけで満足。場内も至る所で啜り泣き。

    ネタバレBOX

    「お母さん、私の事を覚えていてね。私の事を忘れないでね。」
    アーシア・アルジェント主演の『雨上がりの駅で』を思い出した。過ごした時間、共有した時間、記憶こそが人間の唯一無二の宝物なのか。お馴染みの天井からの落下物も有り。
    しかし、ここからのエピソードが蛇足気味。実は妻には死体遺棄の過去があった。父親が殺した母親の死体を、実家の床下に埋めることを手伝っていたのだ。そのことで父親から脅迫まで。ラストは中二の娘が妻の父親(お爺ちゃん)をぶっ殺し、一家で死体を埋める。「どうせ私は忘れてしまうから」がオチ。
    照れ隠しなのか、オリジナリティの誇示なのか、どちらにしろつまらない。カーテンがバッと開かれるとキャバ嬢の部屋で、しかも物語とは何らリンクしないというナンセンス・ギャグは面白かったが。

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    2019/08/29 23:53

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