満足度★★★★
鑑賞日2019/08/26 (月) 19:00
くによし組待望の短編集。若干苦い作品群だ。2020年以降、戦争が頻繁に起こるようになった近未来の物語3話という構成。『セミ人間と恋した夏』は一部のセミが人間となるという設定が巧みで、人権のないセミ人間は殺してもいい、とか、この設定から出る細部の描き方が巧い。25分。『私の頭が消しゴム』は頭が消しゴムになってしまう病気にかかった少女を軸とした周辺の人々の物語、を語る女の物語、とも見える。35分。『晴れた日』は戦争で失った体を、機械に入れ替える男が病気の少女と出会う物語。ここで3話が一つに繋がる40分。どの作品も國吉らしい不条理がいっぱいあるが、全体に切ない物語が泣かせる。