満足度★★★★
表題と説明から受ける印象はミステリーかオカルトですが全然そうではありません。確かにミステリー的な要素もあるのですが謎解きに期待すると脱力します。ああそうなのと軽く受け流しましょう。サスペンス仕立ての社会派ホームドラマというのが近いと思います。
社会と家庭の二つの領域でハロルド(益岡徹)とテレンス(岡田将生)が対決するのですがテレンスはどちらも代理戦争という立場です。本来は地味な話なので家庭の方をおどろおどろしく仕立てて商業演劇として成立させています。
岡田さんと益岡さんはもちろん良いのですが、私の一押しは木村多江さんです。木村さんっていつもはジメジメしたイメージがありますが、この舞台では最愛の息子を亡くしてから10年もひきこもっていた母親という本来ジメジメした役柄を、逆にカラッとかつ積極的な女性として演じていて新鮮でした。
私にはあまり興味のあるテーマではありませんでしたが、脇役の俳優さんの手堅さや重厚なセットなどでも楽しむことができました。