鬼桃伝  -oni-momo-den- 公演情報 おぼんろ「鬼桃伝 -oni-momo-den-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    より一層のスキルアップを図って欲しい期待の集団
    演劇好きの友人に誘われて初のおぼんろ観劇。チラシの意見募集を見て投稿することにしました。
    鬼になってしまった桃太郎と、彼(彼女?)を一途に想い続ける犬という斬新な設定といい、メインの役者陣の魅力ある演技といい、光るものを感じさせる舞台だった。若い頃の美しい桃太郎と可愛らしい犬・猿・雉と、鬼になってからの桃太郎や中年になってしまった3匹の演技のギャップも素晴らしかった。「鬼に変わり果てた」という設定を聞くと、何かしら邪悪な物に変貌してしまった存在を想像しがちだけれど、ここで描かれるのは、年老いて痴呆症になってしまったような桃太郎で、それが中年ズタボロの、例えば大好きだったおじいちゃんおばあちゃんがアルツハイマーで自分を忘れてしまったような、そんなやるせなさや哀しさを引き立てている。映像や段ボールを使った演出にも目を奪われた。ただ、滑舌が悪いのか音響の問題なのか、聞き取れない台詞が多くて、話の展開にいまひとつついて行けなかったのが残念だった。凝ったストーリーだけに、観客にとって「観やすい」エンターテイメントを作り上げる努力をしてほしいと思った。

    ネタバレBOX

    もうひとつ、脚本の問題だと思うが、あまりに沢山の要素を詰め込みすぎて、どのエピソードがメインなのかがぼやけてしまっていて(ズタボロの桃太郎への一途な愛情や桃太郎が鬼になってしまった理由など)、終わったあとに今ひとつ感動が残らなかったように思う。過去の自分と戦ったり、ダイナマイトを巻いて突撃するシーンなどは蛇足なのでは?個人的には、ゴンベイと田吾作の2人の抑えた演技と佇まいが美しくて目が離せなかったのだが、この2人の恋のエピソードは劇中で起こる全ての悲劇の元凶なのであり、もっとフィーチャーして描かれていれば、作品としても格があがるし、何よりも観客としてはストーリーそのものを理解しやすかったように思う。
    長々と書いてしまいましたが、底力を感じさせる劇団であり、きっとまた観に行くと思います。

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    2009/04/14 22:24

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