満足度★★★★
より一層のスキルアップを図って欲しい期待の集団
演劇好きの友人に誘われて初のおぼんろ観劇。チラシの意見募集を見て投稿することにしました。
鬼になってしまった桃太郎と、彼(彼女?)を一途に想い続ける犬という斬新な設定といい、メインの役者陣の魅力ある演技といい、光るものを感じさせる舞台だった。若い頃の美しい桃太郎と可愛らしい犬・猿・雉と、鬼になってからの桃太郎や中年になってしまった3匹の演技のギャップも素晴らしかった。「鬼に変わり果てた」という設定を聞くと、何かしら邪悪な物に変貌してしまった存在を想像しがちだけれど、ここで描かれるのは、年老いて痴呆症になってしまったような桃太郎で、それが中年ズタボロの、例えば大好きだったおじいちゃんおばあちゃんがアルツハイマーで自分を忘れてしまったような、そんなやるせなさや哀しさを引き立てている。映像や段ボールを使った演出にも目を奪われた。ただ、滑舌が悪いのか音響の問題なのか、聞き取れない台詞が多くて、話の展開にいまひとつついて行けなかったのが残念だった。凝ったストーリーだけに、観客にとって「観やすい」エンターテイメントを作り上げる努力をしてほしいと思った。