お気に召すまま	公演情報 東京芸術劇場「お気に召すまま 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    客席も舞台の一部として使って、大劇場なのに、これほど観客と俳優の距離の近い舞台は初めてだった。客席の通路を使うことはよくあるが、今回は、演技スペースとして、5列目くらいのセンターブロックの客席に客をいれずに、開けてある(!)。冒頭のオーランドーの兄を恨むセリフは、この客席の上に仁王立ちになってだから、驚いた。

    もともと張り出し舞台を作っているので、客席にせり出している。ほかにも、客のいる客席の間を俳優が無理に通り抜けたり、自由な発想の動きで、そこがまず面白かった。

    演出は「お気に召すまま」の隠語や裏の性的意味を表に引きずり出そうというもの。そのために1年前から翻訳者・俳優も含めて勉強会を行い、翻訳も新たに作ったというから、かなり気合を入れた準備である。明るい恋の物語というこの作品の従来のカラーに、今まで以上に猥雑さを与え、エロチックな味にしていた。俳優もその線で、腰をなまめかしく動かしたり、くんずほぐれつ絡んだり、ちょっとやり過ぎという感じもしたが、頑張っていた。

    シェイクスピア、とくにこれくらいポピュラーな戯曲になると、新味を出すことが重要だから、その点では満足できる斬新な舞台だった。ただ、子供も楽しめるような原作ののどかさ、おおらかさにも大きな魅力があることを改めて感じたところだった。

    俳優陣では、満島ひかりが抜群によかった。彼女は映像でしか見たことがなかったので、驚いた。声もよく通るし、小さい体なのにすごい舞台上で華がある。自然体の伸びやかさがある。続いては満島真之介。食らい、陰気な兄オリバーを演じて、すごみがあり、リチャード3世のようだった。

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    2019/08/15 09:04

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