満足度★★★★
経験と実績を積んだ若い演劇人が修行のために門を叩く青年団併設無隣館。ハイバイ川面千晶の名を見てオヤと思ったが、確かハイバイで川面作品をやった何か公演があった(未見だが)。骨のある俳優というイメージは滲み出る人柄だろうか、狭いアトリエ春風舎とはいえ早々に完売なのには驚いた。
この企画は菊池明明と二人で立ち上げたという。パンフの協力者欄には豪華な演劇人の名前が並び、一体何の協力を?と興味が湧く。
舞台「4 a.m.」は2時間に及ぶケラ作品。(先般モメラスが上演した同名の短編ではなかった。)成長株山田由梨の演出も見ものだったが、初めて目にするケラでない演出によるケラ作品舞台には様々発見があり、芝居としても(春風舎だと忘れる程。失礼)面白かった。
川に沿った国境を南から北へ移って来たある夫婦の家のお話。屋根は持ち得ているが食糧難、政情不安定。場所(国)、時代とも、どこかに重なりそうで重ならず(虎が出てくる等着想は北朝鮮に違いないが)、荒唐無稽だが一定のリアルを保ち、信憑性あるドタバタ故に深刻になる暇がない、ケラ流ディストピア劇をが現出していた。
役者も大奮闘、また「奇妙な現象」を起こす舞台上の仕掛けたち、とりわけ赤いアレを作った小道具に拍手。