満足度★★★
趣向は様々あったけど、結局とっ散らかったままで終わった。
ギリシャ悲劇の枠組みに、フランケンシュタインのような怪奇科学者の犯罪を、乱歩ばりに名探偵が少年と共に解いていく、という大筋だが、趣向は糸あやつり人形一座の一糸座に、マメ山田や十貫寺梅軒のようなアングラ系の奇優の競演で、ほとんどヴァラエティのような場面展開で進んでいく。その場その場には、思わず吹き出すような世の常識に対する突っ込みの台詞もあり、目先は変わっていくのだが、このスタイルの雑劇の弱点である積み重なっていく焦点がいつまでも見えてこない。
一糸座の作った人形の怪物キャラクターには面白いものもあり、マメ山田(名探偵・ドイル君)と十貫寺梅軒(少年)は大健闘であるのだが、まとまった印象に残るのは、人形による殺陣であったり、夜の広場の少年と傘、のようなストーリーには関係のない独立したナンバーだ。
これはやはり、劇場パンフで「リミッターが外れた」と書いている作・演出の責任だろう。芝居の作・演出だけは、リミッターを常に意識していて貰わないないと、見る方は途方に暮れてしまう。