満足度★★★
知人の役者・高坂汐里が出演する舞台、coconkukanunityの第9回公演『星々のお祭り~記憶の中のジャルダン~』を観に行ってきた。会場は、京王線八幡山駅に近いワーサルシアター。
劇団公式サイトの書かれた、いわゆる粗筋的な文章を引用しておきたい。
この世界のどこかに、
記憶のトラウマを癒す保養所「星々のジャルダン」があるという。
少年カミルもまた、記憶をなくしながら、保養所の中庭の手入れを任されていた。
ある日、カミルの前に、
仕事に疲れた男、
学校嫌いの少女、
高学歴の引きこもり青年など、
次々と現れる。
カミルは彼らに、
保養所に住む面々を引き合わせると、
世代を越えた、奇妙な交流が始まった。
そうして、
思い出された、それぞれの記憶が鍵となり、
忘れていたカミルの、
深く、悲しい記憶もまた、よみがえるのだった。
すべては、
とても大切な「星々のお祭り」に向かうためにーー。
これは、
「生まれた命の意味」を思い出す物語。
更に、当日のパンフレットの中には、ファンタジーではあるが、実際にあったニュースや事件を題材にしているという。
確かに、劇中にドイツでのユダヤ人虐待(本作の主人公であるカミルはそのなかの一人であろう)、ガダルカナル島における日本兵的な男性などが登場し、更にやや宗教ががったシーン(キリスト教)もあって、個人的な思想信条を若干逆なでされるようなシーンもあったため、「人の命や尊厳を大切にしたい価値観にそぐわない人々のあり方」を問題視した作品であるという本作の核の部分に賛同できずに終わった。
まず、第一にテーマが大きすぎて焦点が定まらないところがあった。
それは、扱う題材の多さにも関係しているように思う。
第二に、役者達がテーマをしっかり消化した上で演じているのか疑問の残る部分があった。
正直な話、この舞台で上演され主張されるようなテーマは、普遍的な問題なのだろうけれど、自分が演劇に望み感動を呼び起こしてくれるようなものではなかった。
ちなみに、観客の中にはラストシーンで涙する方もおられたようであるが、この舞台の評価は賛否がハッキリ分かれるものではなかったろうか。
こういう言い方を舞台評価には使いたくないが、個人的には嫌いな舞台であった。