満足度★★★★
「~機関」の名に何処となく時代的な響きがあり、古手と思っていたが、2016年始動したばかりという。年一回公演を打ち、今年4回目、今の所全て寺山修司作品である。主宰の舞踏家・点滅(という名)自身は90年代からパフォーマーとして活動。不勉強だが寺山と舞踏を近しく感じるのは共にアングラの出自からか。(天井桟敷は確か見世物小屋の復権などと唱えていたような。白塗り裸体が妖しくうごめく隠微と、舞踏=身体性への遡及?とは形は似てるが果して...?)
劇団については全く知識0だったが、顔を知る役者の出演で足を運んだ。流山児・伊藤女史、我が神奈川の若い劇団より鈴木千晴。後で気づいたが名に覚えのある近童弐吉はガッツリ新宿梁山泊の俳優(ほぼ20年前中野の新アトリエで『愛の乞食/アリババ』をかぶりつきで観た朧気な記憶)。
さて出し物。開演前から白塗りが4体蠢いている。寺山戯曲に絡めた「双子」の逸話は主宰が絡めて翻案したらしい(となると相当な改稿だから違ってるかもだがパンフにそれっぽい記述)。舞踊プロパーと演技プロパーが別個で判り易く、ドラマ語りの生硬さが舞踊表現で緩和されている。最後の最後に飛び出る論理の混線、反則スレスレ(?)の処理は、「時代の産物」たる戯曲の限界を超えようとの試みだろうか(戯曲を知らないので何とも言えないが)・・それでも時代がかった印象を拭えない展開であったが、二女優のイノセントの佇まいがこの反則による空白を埋め、どうにかこうにかラストを迎えた。
試みは場合によっては大変刺激的になった可能性があるが、論理的タフさも詩情も、私の納得に達せず、疑問符を残した。
座高円寺のステージを埋める大装置と、壮大な音楽は酔わせるものあり。ちょいちょいエロあり(どちらの翻案か不明)。