満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/31 (水)
池袋シアターグリーンにてALL ACT COMPANY『ハツカネズミと人間』を観劇。
世界恐慌時代の米カルフォルニア州を舞台に繰り広げられる2人の出稼ぎ労働者・ジョージ ミルトンとレニー スモールの悲劇の物語。1937年に出版されたジョン・スタインベック氏の小説が原作で、映画や他の劇団などでも上演されている作品のようですが、個人的には今回が初見でした。
小柄ながらも頭の回転が早いジョージと大柄で怪力の持ち主ながらも知能が低いレニー。この2人が旅をしながら行動を共にし、「いずれ自分たちの大農場を持つんだ」と夢を確認し合う会話シーンから物語がスタート。対照的な2人の人物像ではあるものの、共に必要とし合う関係性や、夢に向かって頑張っている姿が印象付けられます。ここから先のストーリーについては割愛しますが、一見するととても仲が良く、密な関係性を持った2人であるように映る反面、レニーが問題行動を起こしたときなどに随所に垣間見えるジョージの本心のようなものがとても興味深く、まさにこの物語の核となる部分なのかなと感じました。確かにジョージに共感も出来る部分もあれば、レニーの無邪気な様子を見ると、何とも複雑な心境になる部分も。。そしてやがて訪れる悲劇。。。場面が進行するにつれて、完全に物語の中の世界に引き込まれ、思いの外感情移入してしまいました。衝撃的なクライマックスシーンは幾つかの感情が同時に動いたような不思議な感覚にもなりました。
2時間15分というやや長めの上演時間でしたが、ストーリーの面白味や奥深さ、演者さんの演技力の高さなど色々な要素が絡まり、あっという間に過ぎ去った印象です。中でもジョージ役の新本一真さん、レニー役の鈴江幸市さん、キャンディ役の石山雄大さんの好演ぶりが印象に残りました。見応えのある良い作品でした。