『methods[メソッズ]』『過妄女[かもめ]』 公演情報 劇団山の手事情社「『methods[メソッズ]』『過妄女[かもめ]』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    『methods』
    清水宏についていける人間がいるとは驚きである。驚愕の90分。フリーエチュード、ものまねでは人間の可笑しさ愚かさ 凄まじさを感じさせた。また、歩行、ルパムでは劇団の集団力を見せつけられる。シンプルであることの美しさを堪能した。即興で作る寸劇も面白かった。あの短時間でよく作れたものだ。演技も鮮やかだった。自分が見た回では演者の上手さと話の妙に、どよめきのなか拍手が起きた。こういう公演ならではの現象だったと思う。

    山の手事情社にはこれからもこういった公演をコンスタントに続けて欲しい。俳優の恐ろしさ、演劇の恐ろしさを見せつけて欲しい。

    ネタバレBOX

    『過妄女』
    トレープレフ、ニーナ、マーシャを生きた人間とし、その他を剥製と解釈しての上演。

    最後、恋を失い、剥製となった息子を祝福し、迎えるアルカージナの在り方は斬新だった。老いや退屈を肯定した演出だとすれば新しい『かもめ』の解釈ではないか。

    概ね質のいい上演だったが、不満があるとすれば美しすぎる点だろうか。

    生きた人間たち(トレープレフとニーナ、マーシャ)の恋や嫉妬、失恋がことさら美しく描かれる。しかしそれが剥製たちが嫉妬する生き方かは疑問が残る。対して、剥製たちのヴォードビル(剥製とされる人物たちのドラマ)の方が、活き活きと演じられる。生きた人間に見えるのだ。この対比が意図的であれば非常に皮肉が効いている。

    また、ニーナがただただ儚く、美しい存在として演じられるが、一風変わったアルカージナ、トレープレフと並ぶと物足りない。山の手事情社で観たいニーナとは、と考えてしまった。贅沢か。

    しかしそれは演出の問題であり、俳優の努力、技術は素晴らしい。

    今後も山の手事情社にしか作れない作品を期待している。

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    2019/06/29 00:52

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