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逆襲の花束<追加公演>
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生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した「
逆襲の花束<追加公演>
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ハンダラ(10417)
満足度
★★★★
一言で言うと良くも悪しくもアナーキーな作品だが、
ネタバレBOX
アナーキズムにも無論様々な潮流があってプルードンやクロポトキンのように相当に知的・理論的に優れた思想を展開したアナーキストも居れば、どちらかと言うと、ロマンに流れた者もあった。殊にプルードン等は、硬直化して自滅することに繋がってゆくコミュニズムのドグマティックな傾向の危険性を予見し、それを避ける為に思考している所もあって実に深く興味深いし、クロポトキンの理論をベースにした流れでは、中南米でのアナルコサンジカリズム運動などに繋がって実践され生き残ってきた流れもある。
だが、今作で描かれているのは、寧ろロマンチックな流れを汲み、自己破滅的傾向を血で贖う一種のナルシシズムの域を脱していないことは、時雨の科白に良く現れていよう。
因みに時雨が語る駆逐艦「時雨」は実在した。今作で語られた通り1945年1月24日マレー沖で受けた魚雷によって沈没。日本海軍の誇った駆逐艦「時雨」の最後となった。作中、沈没時の乗員総数は222名となっていたが、自分がざっと調べた範囲では、亡くなった乗員の数までは調べがつかなかった。だが、戦歴をみるに相当に優秀な艦長と乗組員によって操艦されていたことは間違いあるまい。その練度の高さは日々の修練、鍛錬の怠りなさを照明し、判断の的確、沈着冷静と実行力、勇気、胆力等々は超一級の天才と言えるのではあるまいか。
ここで言及される“革命”は、単なる社会変革ではなく、命を新たにすることでもある。当然、守旧派は、己の既得権を守る為にありとあらゆる手を用いて妨害を仕掛けてくる。スパイも2重スパイを含めて様々なタイプ、能力、方法を持った人間やシステムが機能して襲ってくる訳だし、初動、各過程、成就、その後等々の諸段階・諸カテゴリーの総てに於いて勝利しなければならない。なんとなれば、失敗は拷問・虐殺・惨殺による死か裏切りである。こんな分かり切った工程以外にも様々なことが起こる。今作は、然しこういった現実過程には一切踏み込まないし、それだけの理論武装をしていないことも確かであるが、初動への誘いを掛けることには、恐らく成功していよう。それは、音楽や光の明滅の中で踊ったり、体をゆすったり、演者に応えたりする観客の態度に現れていた。ただ、衝動に囚われて初動のインセンティブを持ち得ても、それだけでパースペクティブを持たずに突っ走れば結果は必敗でしかないことも明らかだ。
キャラの中に、トリックスター的な要素を持つ道化が登場するのも、革命過程のこういった二面性を表象していると言えよう。
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2019/06/19 12:12
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