夜のジオラマ 公演情報 SPIRAL MOON「夜のジオラマ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     何より驚かされるのが、このように本質的な作品が2007年に発表されたことである。(追記2019.6.14 01:08)

    ネタバレBOX

    2007年といえば、安倍晋三内閣の第1期、安倍が晋太郎の遺産相続で脱税、週刊現代にスクープされ辞めた年だ。その時点でこの内閣の作り出すディストピアという本質を描いていることに対する驚きである。キーとなる状況やコンセプトがポツン、ポツンと示され、徐々に全体状況が類推できる極めてデリケートな作品だが、このデリカシー故に、終始緊張感の途切れない脚本・舞台である。それは時代という名の秤の上に、嫌も応も無く載せられた裸の神経そのものだ。描かれているのは、まさしく我らが現実にそこで生きている日本という名のディストピアである。
     ここで描かれるディストピアとは他人を操る技術としての政治(嘘と隠蔽、そして詭計によって設計され、利害によって裏打ちされた支配体制と本来そのような事態を粉砕すべく立ち上がる民意の無効性を予め制度に組み込まれ、己の頭脳を用いて考えることを奪う教育によって画一化された社会やマスゴミによって洗脳されていることにすら気付かなくなった人々と、一応理性が機能しているかのように装われた彼らの心の浅薄極まる機微の底の底に蠢く、既に狂ったように感じられる分正常な魂に、漠とした不如意として現れるもの・ことの意味する所で、キチンと事実を腑分けして抉り出し、己の頭で連関の必然性を見出すことのできる想像力を持ち合わせたドキュメンタリー作家が、洗脳されたとも知らぬ民衆から心無いバッシングを受け、夫婦・家族が孤立化してゆく過程で起こる災禍を太陽フレアを原因とする磁気嵐や、そのことが原因で起こる電子機器の不具合や故障等々によって機能しなくなった社会、蔓延するパンデミック等々総てを21年の時の壁を行き来する装置として、大きく隠れ家的建築物と、其処に置かれたいくつかの先代住民の置き土産が丁度映画や書物が一種のタイムマシンである如くに2040年と2019年を繋ぎつつ、展開するが、何分通常のタイムトラベルものと違って、ありきたりの出し方ではないので一瞬の弛緩もなく観ることができる。無論、観客が要求されているのは、このような点描で示される要素を観客自身の脳で思考し、深め、連関を見出し、先ずは何が描かれているのかを特定することだ。
     その上で、起っている事件の中での各々の行動の意味とその結果を観客自らの脳内でトータライズしてみせることである。その時、各々の脳内に2―1=の答えが浮かび上がってこよう、答えは1つでなくて良い。アヤのsuicide attackの持つ意味や動機、ノマドの名とアヤの親友の名の同一性及びアヤの行為の社会的意味とその行為の持つディストピア社会での唯一無二の希望としての尊さなどが浮かんでくる。そして、この点に気付かなければこの物語に救いの要素は無い。丁度、我らの民意が、他ならぬ安倍晋三という象徴的国賊によって根こそぎ奪われているように。
     ところで、この現況を覆す方法が無い訳ではない。それも平和的に。それには、先ず国民自身が目覚めねばならない。ポピュリズムを警戒しつつ、直接民主制を構築すること、その為には現行法を改革しなければならないし、選ぶ際に、党や人でなく政策そのものを選ばなければならない。経済に関してはアベノミクスなどという最初から破綻した論理ではなく、現在タブー視されている公共貨幣制度を基軸化する必要がある。今挙げたことだけで2~3冊本を書かなければならない程の問題だが、この辺りが、真の基点として提起できる基礎の基礎である。今作の提起している問題はことほど左様に深く、本質的なのである。
     おっと、電気エネルギーに関しては、水素発電がお勧め! まあ、既得権益持ってる電力会社やそこに関わってズブズブに儲けてる企業、それに群がる政治屋、官僚共なども叩き潰す必要があるから、この辺りも各々がキチンと調べて叩くとグー。こういう形で具体的に利権を潰してゆくことができれば、原発などという唯湯を沸かす為だけにトンデモナイリスクを負わされるアホラシサからも解放されよう。因みに原発仕事が無くなって困るという方々には廃炉で活躍して頂けば現実的だろう。但し、作業者の被ばくに関してはキチンとケアするという条件をつけてというのは、当たり前だ。被ばくが原因で作業者が足りなくなったら、推進してきた人々を強制的に作業員として働かせるべきであろう。倫理的にもそれが最も理に適っていようし。

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    2019/06/13 12:53

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