北齋漫畫 公演情報 東京グローブ座「北齋漫畫」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ご存知、画狂葛飾北斎の若き日から90歳の死までを描く評伝劇。華のある芸達者たちがそろって、安心して見られる芝居だった。北斎の代表作がプロジェクション・マッピングで舞台に大きく映し出され、目でも楽しめた。音楽もモダンで和風な曲が、場面場面を盛り上げた。

    二匹のタコが海女と乳繰る絵を、昔の恋人によく似た若い女性(=佐藤江梨子)のモデルで描こうと、狂気に近い世界に入っていく場面が最大の見せ場。一番北斎の、常識も生活も顧みずに。自分の絵にのめり込んでいく生き方を示していた。ただ関ジャ二♾の横山ではまだ迫力不足。初演は北斎を緒形拳が演じたそうだが、緒形拳で見てみたかった。

    北斎を献身的に支え続け、自身も才能ある画家だった娘のお栄(応為)=堺小春、生活破滅型の北斎とは対照的な、堅実で生真面目な馬琴(=木村了)の二人がよかった。こうした周囲の人々に支えられて、北斎の仕事があったことがわかる。しかし、矢代静一は最後、北斎を捕まえきれずに終わったのではないか。それだけ、北斎が謎の多い大きくて奥深い存在だということだが。

    上演時間は前半80分、休憩20分、後半70分の計2時間50分。しかし長くは感じない。特に前半はテンポが良く、あっという間の80分だった。休憩を挟んで、年月が大きく飛んで、後半は89歳の北斎と同じく老人の馬琴。老け顔や白内障を表現した特殊メイクが見事だった。

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    2019/06/10 07:39

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