あの鐘を鳴らすのはあなた 公演情報 Pave the Way「あの鐘を鳴らすのはあなた」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    劇団「あの鐘」の公演後の後日談といった物語。その物語は、タイトルの情緒的な印象とは違いコメディであるが、何を伝えたいのか、どのように観せるかが上手く伝わらないのが残念なところ。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台は、冒頭は劇団「あの鐘」公演の打ち上げのため、居酒屋で宴会が始まる場面。暗転後はそれから3カ月経った劇団の稽古場である。主人公の古町キョウヤ(崎嶋勇人サン)が劇団公演後にこのままではダメだという強い危機感を抱く。何を根拠に何が不足しているのか曖昧なまま、劇団員それぞれが考えてみることになった。

    3か月後、次回公演に向けて集まったが何か様子がおかしい。まず脚本家が台本を書けない、制作サイドの宣伝活動にやる気が見られない等々。そのうち劇団を解散してはという話の流れ、この際、劇団員が思っていることを吐露していく。実はヤクザの娘、SM倶楽部でバイトしている、劇団の金を使い込んでいる等、赤裸々な話や不始末が露呈する。何となく内輪話のような気もするが、そこに居る人の性癖・性悪な面を見せることによって劇団内の不協和音を浮き彫りにする。身近な題材であるが現実味がなく、距離を置いた描き方になっているため”笑い”が醒めているようだ。

    物語は稽古場に集まった一夜を中心に展開するが、ラストシーンを除けば、ほとんどが大声というか怒鳴り声に近い話し方である。そのため一本調子になり、メリハリが欠けたように感じる。
    また、キョウヤは3カ月前...つまり公演打ち上げ後に交通事故死をしており、この稽古場に居るのは幽霊である。その幽霊が、他の生者の動線を気にするような動きをしており不自然に思える。

    冒頭、キョウヤが力説していた”このままではダメだ”という思いは、この公演そのものを暗示している、そんなブラックな感想を持ってしまう。公演のテーマは何か、それをどう観せたかったのかが伝わらない。折角、稽古場に集まった団員の話をするのであれば、冷静な人間観察を通して劇団内の人間関係に観る狂気・狂喜・驚喜を巧みに駆り立てた(喜劇でも悲劇)作品に…ぜひ”鐘を鳴らして”ほしい。
    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2019/06/08 09:43

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大