満足度★★★
愛玩する弟を奪われないために、相思相愛の仲を裂くわがままな姉。南沢奈央がその一番怖い、嘘をつく場面を、純粋さゆえに犯す過ちとして、まっすぐに演じていて、引き込まれた。弟と姉の関係は近親相姦だったのかいなか。どちらとも取れる演出をしていたと思うが、いかに。
弟に最初に怪我を負わせ、また最後は毒を送ってきて、最後の悲劇の原因を作る美少年がいる。影のような存在で、出番は少ないのだが、実はメフィストフェレスのようにこの悲劇を司っているように感じた。そういう外部の力がこの姉妹のドラマをじつは動かしているという点は、コクトーの作劇術としてどうだろう。あまり問題にする人はいないのだろうか。