満足度★★★
21日午後、下北沢のザ・スズナリで上演された西瓜糖第七回公演『ご馳走』を観てきた。この劇団は、2015年の第五回公演『モデル』を観て以来気に入り、毎年公演を観るようになった。発足当時は演出の松本祐子もメンバ00であったが、現在は脚本家としては秋之桜子・女優としては山像かおり、女優の奥山美代子の二人で運営され、演出は毎回客演演出家による上演という形をとっており。今回の演出は花組芝居の加納幸和が担当した。
かつての同人誌仲間で、今はそれぞれが結婚して家庭を持っている男女二組の間に交錯する、男女の情愛と作家としてのジレンマが舞台の核となっているのだが、登場人物の抱えているわだかまりというか悩みというか秘密というものの絡み合いが、どことなく空回りしてしまっている印象を強く受けた。これは、登場人物達の関係性を考えすぎた脚本の隙間風とでも言うものだろう。演出は、それをなるべく感じさせないように自然と、というか黙々と話を進行させてはいるが、観ていて舞台で繰り広げられている世界に没入できなかったのが残念。もう少し。単純な内容にしても、登場する二組の男女の関係性は上手く描けたのではあるまいか。
とはいうものの、二組の夫婦を演じた井上和彦、山路和弘、そして山像かおり、奥山美代子の演技はなかなか充実してと言うか円熟したものであったことは確か。つまらぬ踊りなどを折れず、会話で推し進めてくれるともっと良かった。登場人物達にとっての「ご馳走」とは何だったのか。考えさせられた舞台であった。
次回公演でどのような作風を示してくれるのか。それを楽しみに待つとしよう。