東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」 公演情報 オフィス上の空「東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アリストパネスの戯曲「女の平和」…アテネとスパルタの戦いを終わらせるために、両都市の女が手を結び、セックス・ストライキをおこなう下ネタ喜劇、と思って観たらガッカリする。どちらかと言えば「BAR女の平和」というタイトルを皮肉るような「BAR女の戦い」が熱く激しく繰り広げられる物語。もちろん女の戦いとなれば、恋愛における主導権争いだ。会話はあちらこちらに問題が派生し漂流するがごとく行き着く先が分からない。時に問題のすり替え、嫉妬、軽口裏切りなど女の本音・愚痴が聞こえてくる。その人間模様をいきいきと軽妙に紡いだ珠玉作。
    (上演時間1時間) 【Eチーム】2019.5.29追記

    ネタバレBOX

    舞台はBarの店内。上手にテーブル席、下手にカウンター、ボトル棚が観える。中央の壁には区議会議員立候補の友人を励ます檄文。床には大きなダンボール箱が置かれている。シンプルなセットであるが、物語の展開には十分な作りである。

    区議会議員に立候補した友人の激励会らしき集まりだが、当の本人がまだ到着しない。その間にセックスストライキの話題にふれるが、今夜集まる予定の5人が揃ったところから物語が漂流するようにあちらこちらに派生していく。表層的には、女の戦いである。キッカケは、議員立候補者の生田目あいこの親友・芝浦まきが夫を事故死させたと打ち明ける。自首を促すあいこに、木下ももかがあいここそが元凶だから身代わり自首すべきだと言い出す。まきの夫とあいこが不倫関係にあり、更にももかも不倫しており他人の夫を巡り嫉妬による責任の擦り付けという女の性(さが)が観えてくる。

    また、花園れいは姑との折り合いが悪く、夫は子供の面倒を見てくれない。家庭生活の不平不満をぶちまける。これによって家庭や世間における女性の見方が見えてくる。Barのママ・山野かおりは初老の男と暮らしており、金銭面も含め何かと面倒を見ている。女の渦巻く感情...嫉妬・羨望・失望・裏切りなどが上手く散りばめられコメディタッチで観せる。

    一方、女性の自立を訴える あいこに対し何をするにも決め切れない まきを対極におき自分で考えることの大切さを説く。この2人の存在が象徴している「自立」と「依存」こそが現代社会における女性の側面を切り取っているようだ。極端な「自立・依存」の善し悪しは別にして、かおりは初老男に甘く、れいは家庭に縛られ、あいこ・ももかはセックスストライキを建前にこっそり不倫をしている。公演はコメディとして笑わせながらも、底流には女(=人)が持つ表裏の感情、「建前」と「本音」をしっかり描いた公演は観応え十分だった。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2019/05/26 23:48

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大