Otogi ~bis dann~ 公演情報 FAM「Otogi ~bis dann~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    生きること、信じることを熱く観せる青春群像劇。物語の構成としては解り難い所もあるが、それを凌駕する力強さを感じる公演だ。
    説明に「命を賭けた数日間、彼等は物語を描いた。与えられた命に意味を与える為に」とあるが、冒頭が映画の撮影シーンでラストはそこに帰結する構成になっている。ラストと思しきシーンの後にも物語が続き、せっかくの余韻が台無しになり、伝えたかったテーマらしきものが曖昧になるようで勿体なかった。本物語なのか、劇中劇として収めたのだろうか。
    (上演時間1時間45分)【Bチーム】 2019.5.29追記

    ネタバレBOX

    舞台は老朽化した安アパートの一室またはカジノに転換する。上手には階段が付けられ2階_居酒屋を思わせる。中央にはテーブル、椅子が置かれている。周りには海をイメージするようなボードが貼られている。季節はクリスマス時期、このアパートは隙間風が入り、住人は暖房器も持っていない。そして停電も頻繁に起きるという設定である。

    梗概…アパートには色々な事情を抱えた人が暮らしている。その中の1人(男)が病で余命が僅かになり、残された日々をどのように生きるか。この男は自主映画を撮影しており、作品の完成は果たせそうにない。この男を巡り、アパートに住んでいる人々との交流や諍いを通して”生きる”とはを考える。同時に人と人の繋がりを温かく、そして酷く紡いでいく。
    もう1人の主人公と思しき女優志願の女は、自我が強く事務所からの仕事が気に食わないと投げ出してしまう。この女の友人で町工場を経営している女は資金繰りに困っている。誰もが物心に悩みが…。公演は強い訴えというよりは、物語を楽しむといったもの。

    物語は分かり易いが、その展開への納得させる場面が描かれていない。例えば医師が何らかの事情で賭け事の世界へ入っているが、その原因・経緯は何か。その説明不足が面白さを損なったように思う。
    また、主人公の男が海を見ながら倒れるが、それは息を引き取ったとイメージさせる。しかしその後も話は続き、男の映画撮影の劇中シーンとしての物語なのか、男の生き様を映画化した後日談なのか判然としなくなった。
    役者は熱演、特にアパート内における意見・感情が衝突した丁々発止は観応えがあった。台詞は魂が入ったような重みが印象的だ。

    伝えたい内容は”生き様、生き甲斐”などの生ある者の尊厳を描いている。落語の「死神」を思わせるロウソクの話など、隠喩を用いて印象深く観せようと工夫している。カジノのシーンが表れるまでは純な人情劇といった雰囲気であったが、町工場の経営難をカジノへ結び付けるのは少し強引だったように思う。先に記した映画の劇中シーンまたは後日談?とカジノへの展開が物語の構成を解り難くしたようで残念だ。
    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2019/05/26 23:38

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大