満足度★★★★
初日(プレビュー)観劇。大昔の遊機械◎全自動シアター公演(TVで視た)は別にして・・白井晃演出舞台(=新国立劇場中劇場)には「金の無駄遣い」位の感想しか持たなかったのだが、今回は題材に惹かれて観た。至極真っ当にしっかりと作られた舞台で、奇想天外な装置で勝負、な印象は以前と変わらずだが今回は悪くなかった。度肝を抜く装置以外に何~~んにもない新国立中劇場での2作(「天守物語」「テンペスト」)の詰まらなさはプロデュースの問題だったかも知れないと考え始めたこたびの観劇であった。
原作を知らず映画も観ずにいたジャン・コクトーの「恐るべき子供たち」の話の筋は、明らかにこの系譜の芸術的古典として完成度を持ち、判り易い。悪魔的本性を見せる子供たちの存在は、現在もはや物語世界でも現実でも珍しいキャラクターでなくなったが、ホラーでなく文学作品である事の節度は、子供らの行動に何がしかの理由を与えている点だろうか。
5人の子供たちを男女2名ずつの若い俳優が演じ、他の面々(大人)はコロスとしてほぼ背景に退いている。彼らの年齢は不詳だが、(経済的制約がない分)逃げ場のない純粋な苦悩に支配された身体をよく表現していた。