お気に召すまま 公演情報 ヌトミック「お気に召すまま」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    ヌトミックの長尺パフォーマンスは今年初めの「これは演劇ではない」企画に出品された「ネバーマインド」以来2作目。
    音楽要素の強い遊び心が自分にはツボではないかと思っていたが、今回は音楽アピールがやや後退。戯曲を手玉に取るスタンスから戯曲本位へ変化し(作り手の主観としては特に変化はないのだろうが)、ヌトミックなりの「演劇」製作の形跡を認めた。
    といっても、ふわふわとして捕らえ所の無さは「劇的」への屈折、ドラマ解体欲求を思わせるが(昆虫に興味を惹かれた子供がそれを解剖してみる的な罪の無さ)。
    音楽が持つ強さとは明快さ・潔さにあり、場面を瞬時に規定する力があるが、言わば場面を批評し相対化する小気味良さや新鮮さばかりでは、物語は立ち行かない。あるいは同じシェイクスピアでもマクベスなら、批評で埋め尽くした舞台も可能か知れぬが...。
    そこで何らかの線を引いたようなのだが、音楽的抽象性の強さは音楽を用いてこそ。「形」を作るという創造領域に、手ぶらで挑んだような抽象性。
    長く演劇を鑑賞していると、舞台を作り手にとっての一プロセスと見てしまう所があるが、今作は正に方法論の模索過程に見えた。
    自分が上げた期待値に比しての星評価。

    ネタバレBOX

    今作は昨年のアゴラ演出家コンクールに出品した作品の完全版。コンクールは課題戯曲「お気に召すまま」(20分程の場面)を主催側の用意した青年団俳優を使って僅か1~2日で作るというもので、このユニットの発表は結構ウケ、評価も得たたらしいが、瞬発力が物を言う短時間の出し物と、一編のドラマを見せるのとでは根本的な違いがある。というのは判り切った事で、作者としては何らかの着想があったのだろう。
    最近よくその尊顔を拝む松田弘子のソコハカと天然味な風情や、崩しの効く二枚目古屋隆太、性格良さげで真面目そうな原田つむぎ、性格ブスキャラ封印するもハラハラさせる深澤しほ、映画美学校出の舞台上の精神的負荷ゼロ?矢野昌幸・・・ヌトミックの奇妙な仕組みの中で、染み出て来る俳優の持ち味は旨味だが、演出・翻案の斬り込みは弱い。

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    2019/05/17 02:06

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