ハムレット 公演情報 Bunkamura「ハムレット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    岡田将生のハムレットは、従来の憂鬱な悩めるハムレットではなく、活気あふれる行動的ハムレットであった。オフィーリアも、狂気にすごみがあった。回り舞台と、塔を配して高低差のある装置もすばらしい。オフィーリアとハムレットの衣装がどんどん変わっていくのも新鮮だった。その衣装はだんだん崩れていくもので、物語の進展をビジュアル化していた。有名な「生きるべきか、死ぬべきか」の独白場面を、塔の上で首を吊るかどうかという仕草で見せるなど、演出も見事だった。

    王妃ガートルードは悪女なのか、事情を知らない罪のない女なのか、評価が分かれるところだが、今回は、罪のない浮気な女だった。それが無理がないように思う。

    ノルウェーの王子フォーティンブラスの話は、最期以外カットされることが多いが、今回は冒頭と中盤でも出てくる。おかげで復讐のための軍拡という物語の背景がうかびあがり、そこに現代性を感じさせた。

    休憩は別にして2時間半。通常の上演より短い。それでいて、カットを感じさせない。(でも、オフィーリアの死を報告するガートルードのセリフはカットされていると感じた。本来は凝った情景描写のある長いものだから。でも、カットしたほうがよかった。)上演台本もよくねられたもので、よかった。

    名セリフをひとつ。「この世のタガが外れてしまった。それをただすために生まれてきたのだ。俺は」。故北条元一さんが論じたように、この「Time is out of joint. Set it right」(大要)に、この芝居の核心があると思った。そのためには、自分も含めた多くの犠牲が必要だったわけだが。

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    2019/05/14 22:13

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