尾を咥えたり愚者の口 公演情報 電動夏子安置システム「尾を咥えたり愚者の口」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/05/07 (火)

    7日ソワレ・初日の舞台(115分)を拝見。

    ネタバレBOX

    とある出版社を舞台に、作家と編集とが「自主規制」でせめぎ合う現代と、(小説に描かれた)今よりも露骨に検閲がまかり通ったGHQ占領下の戦後の混乱期とを、電夏さんお得意の「二元中継」で描いた作品。
    GHQ占領下編を構成する出来事のメインに「帝銀事件(1948年)」を持ってきたせいか、それとも「表現の自由」「報道の自由」をテーマにすえたせいか、私が知る限りの電夏さんの作品(うっかり見逃した『3483』を除く、『ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち』からの7作品)の中では、客席の笑いの絶対量は比較的少なく、その分、シリアスモードのシーンの説得力が増したように感じられた。

    演技陣。

    前回公演の客演から、今回は劇団員として、舞台に臨まれた坂本ともこさん。
    5年前から舞台を拝見している方だが、電夏さんの芝居との相性の良さ、まさに水を得た魚のよう! 絡むのが難しそうなw 道井良樹さんとの掛け合いも楽しめた。

    前公演から続投の小林知未さんは、ちょこまかと舞台を掻き回す役柄を好演。

    コメディーからシリアス物まで何でもこなせる廣瀬響乃さん。
    今回、小泉智雅さん・熊坂貢児さんとの3人だけは、他の出演者とは別の芝居…すなわち、松本清張ばりの社会派ドラマを演じている趣き。電夏さんの舞台でやるのが惜しいくらいだった(←こらこら!)

    それにしても(あくまでも自分の感想ではあるが)上述の『ブレッチリーの…』以降、多少の好みの違いはあれど、電夏さんの作品で少なくともハズレ舞台に出くわしたことが一度もない。さすがに長いこと観ていると、パターンは読めてきてはいるも、水準以上の作品を継続して世に送り出しているのだから、大したもんだ。

    【配役】
    双葉(文芸部の中堅編集者。本作品の主人公)
    …なしお成(なしお・なる)さん(個人的には『Shoe Cage』でのイメージが強い、お久しぶりな方)
    山部(文芸部デスク。元は社会部の記者)
    …道井良樹さん(今回の前説、相撲の話が短めだった!)
    立花(空気の読めない、若手文芸部編集者)
    …小林知未(ともみ)さん
    児玉(元・社会部の取材記者。GHQ絡みの記事がもとで文芸部に配置換え)
    …熊坂貢児(くまさか・こうじ)さん(紀尾井町か矢来町のデスクにいそうな雰囲気の方)
    河瀬(文芸部の中堅編集者。山部と不倫関係)
    …坂本ともこさん
    神沢(元・姐御の自称作家。天真爛漫なようで実はしたたか)
    …下平久美子さん
    天下(政治団体「天下一社」代表。昔、別れた妻に引き取られた娘のことを気にしている)
    …ドロンズ石本さん
    井上(文芸部の中途採用された新人編集者。神沢に恩義がある)
    …小原雄平さん
    関野(「天下一社」構成員。天下に心酔。井上と因縁がある)
    …緑川大陸(みどりかわ・ひろむ)さん
    野村(郵便局員。姉の事件を取材して欲しいと社会部を訪れるも…)
    …吉岡優希さん(会場整理をされている時の外見から高校三年生?かなと思って調べてみたら…!)
    平井(逮捕された父親の冤罪を社会に訴えようと様々な報道機関を訪ねるも…)
    …廣瀬響乃さん
    藤丸(河瀬が取材を申し込んだマタギ。言動が浮世離れしている)
    …片桐俊次さん
    和泉(社会部の新人記者。平井の話を聴き、協力を誓うも…)
    …小泉智雅さん
    嵯峨(小説世界の中では、文芸部のベテラン事務員)
    …新野アコヤ(しんの・あこや)さん

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    2019/05/08 06:14

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