私の娘でいて欲しい 公演情報 劇団皇帝ケチャップ「私の娘でいて欲しい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/04/28 (日) 12:00

    号泣必至の傑作。
    ネタバレ満載のためネタバレboxにて。

    ネタバレBOX

    例によって観劇のきっかけはフライヤー…ではなくて、
    確かTwitterだった気がする。
    観劇を趣味にしようと思い始めて、Twitterで情報を
    集めている時に、たまたま、目に留まり、なんとなく
    気になって、そのまま予約した様な記憶がある。

    前日に「いつもの致死量」という傑作を観てしまって
    いたため、いくら初心者の自分であっても、一時的に
    目は肥えてしまっていた気がする。
    そんな中での観劇。

    とにかく全編通じて、登場人物がしゃべる、しゃべる、
    しゃべりまくる。
    無音の時間というのは、ほぼ無いに等しく非常に忙しない。

    実生活でも基本的に自分よりも高いテンションで畳みかけ
    られるのが苦手な体質なので、超序盤での感想は、
    「これはちょっと苦手な作品かも…」
    というのが正直なところ。

    硬軟、織り交ぜてのストーリー展開ではあるけれど、セリフ
    回しや雰囲気的に言えば、硬軟のバランスは圧倒的に軟が高い。
    ちょっとバランスが悪いなぁなどと思いながら観てはいたが、
    話が進むにつれて、面白おかしい展開ではあるけれど、扱っている
    内容は決して面白おかしくないことに気づき始める。

    両親の離婚と再婚。
    そして再婚相手も極めて近しい人物。
    節目の誕生日のたびに、ショッキングな事実を明かされる主人公。

    これ、こうして文字に起こしてみるとよくわかるように、
    題材としては、かなり重い。
    普通に扱えば、間違いなく、本編は重苦しい方向にと進んでいく。

    それをコメディタッチでありつつも、最終的に優しく、そして
    愛にあふれたラストへと持っていくがシリアスになりすぎなくする
    ための方程式の解として、この硬軟のバランスを弾き出したのであれば、
    これはすごい緻密さだなと思った。今振り返ってみても(二日しか経って
    ないけど)、これは本当にすごいと思う。

    いつも観劇の時は、わりと後ろの端を選択することが多いのだけれど、
    今回は全席指定で、割り当てられた席は、前から2列目の中央付近。
    うわー、近いーと思いながら観劇。
    目の悪い自分でも、全ての登場人物の表情まで分かる距離感では
    あったのだけれども、終盤の誕生日のシーンで皐月が涙ながらに
    陽子に心中を吐露するシーンは、まったくもって圧巻。
    ポロポロではなく、ボロボロと落ちていく涙が席から見える。
    彼女のみならず、周りの人物ももらい泣き。
    もうあれで完全にノックアウト。涙腺崩壊。
    もともとそんなに強い涙腺ではないけれど、身体が震えるほどに泣いたのは
    観劇史上初。自宅だったら声に出して号泣していたと思う。

    いやー、参ったな。ちょっと恥ずかしいな。と思う間もなく、自分の
    周囲からは啜り泣きの大合唱。
    安心して引き続き泣けました。

    印象に残っているシーンとしては、もちろん、その部分だけど、
    それ以外で言えば、由紀子が皐月に一輪のバラについて諭すシーンと、
    陽子と真奈美が子供たちについて語り合うシーン。
    数少ない硬軟の硬に当たる部分になるんだろうけど、会話の行間に
    それぞれの思いを感じた。

    全編を通じてしみじみと泣かせるタイプというよりは、最後に一気に
    爆発的に畳みかけてくるタイプの演劇。
    なんというか、気持ちよく手玉に取られた感じ。
    痛快無比の傑作でありました。


    今回も例によって役者さんたちには挨拶することなく(チキンですいません)、
    会場を後にしたのだけれど、ちょうど、場内に戻ってくる役者さんたちの
    列に遭遇。
    すれ違いざまに挨拶と会釈の中間くらいのふわっとした感じで一応、軽く感謝の
    言葉だけ伝えさせていただいたが、陽子役の藤原澪さんにこちらの目を見て
    ご挨拶していただけたことがとても印象に残ってます。
    やっぱり素晴らしい舞台をみせていただいた以上、しっかりとこちらからも
    挨拶したいなぁ。
    令和の目標にします。

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    2019/04/30 16:27

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