満足度★★★★★
人は健康で定職があって食うに不自由していないのであれば幸せと思わなければいけないのかもしれない・・・しかし幸せと思えないものは思えない。これはどうしようもない事。
そこに暮らす人間描写の鮮やかさに自然と笑ってしまいながらも同時に襲ってくるのは圧倒的な閉塞感。
楽しい事なんてひとつも無く愚痴ばかりが蔓延する生活には、いい加減前向きな気持ちも萎え萎えになってしまうのは容易に想像できるし「こんな狭苦しい地方からは出ていきたい!」と考えてしまう気持ちは自分にも身に覚えがあります。
ただ共感とはまた違う・・・ここまで呆れた人間環境に身を置いたことがないし、自分と似たタイプの登場人物が登場しているわけでもない。
それでもただの傍観者としてニヤニヤしていられないのは、舞台の生々しい世界へと引きずり込んでしまう役者さん達の力量に他ならないと思います。
そして追い打ちをかける様に強く心揺さぶられるのは「こんな現状から抜け出したい」「今の自分からサヨナラしたい」そんな時代を思い起こさせるからかもしれない。
にしてもサヨウナラの手段が、隠し金の横領って・・・絶対間違ってるし(笑)
間違っていても この状況この人達ではさもありなん、もう止まらないし止められないし、あぁもうどうなっても知らね~し(笑)
事が上手くいったかはさておき、兵どもが夢の跡・・・様々な想いが拡散していき、それぞれの人生に思いが巡ります。
とりわけ常々気の毒だと気にかけていた青年の心の内,落ち着く先を見届けたときには、他人の本音は表面を取っ払ってみないと本当に読めないものだなぁと単純ではない個の違いを思い知りました。
つくづく感慨深いです。
大納得のCoRich舞台芸術まつりグランプリ受賞作品。
どんなに書き連ねてもこの公演の素晴らしさを表現しきれなくて非常にもどかしいのですが、う~ん何故に空席が存在するのか?
公演はほんの数日すぐに終わってしまうのに・・・早く、どうにか情報伝達力っ!