劇団水色革命 『離婚しないで』 公演情報 劇団水色革命「劇団水色革命 『離婚しないで』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     今作には女子プロレスラーが4人も出場しているというので興味を持ったのだが、これにはちょっと因縁がある。(華4つ☆追記後送)

    ネタバレBOX

    「プロレス少女伝説」井田 真木子著(1990初版)を書いて大宅壮一賞を受賞した井田は、早川書房の編集部に彼女が在籍して居た時からの友人だったということ、小学校時代同じクラスに居た女子が長じて女子プロレスの選手になったと風の便りに聴いていたことなどだ。
     プロレスは、ショー的要素が加味されてはいるものの、決める所はキッチリ決めているし、可也ハードなスポーツである。男のプロレスの場合、互いに本気でやりあったらどちらかが死ぬだろう。女子プロレスの場合、マットが男のプロレスで用いられるものより柔軟性に富んでいたりということはあっても、ハードなスポーツであることに変わりは無い。女子の中にも男性性というものはあるし、男の中にも女性性はあるが、矢張り妊娠し母胎内で子を産むまで育てる女性身体の持つデリカシーは、男の比ではあるまい。そんな身体を持つ女性が格闘技をプロとしてやるからには、何か強くなりたいという強い動機が在ったのではないか? そんなことも考えたのは、このタイトルのせいだ。「離婚しないで」と発語しているのは、誰か? である。作品を拝見すればその答えは自ずと明らかであるが、矢張り自分の予測通りでもあった。
     今作のヒロイン・真央は統合失調症(所謂精神分裂症)と診断されるが、養護施設で育ち、自分の記憶では刑務所で産まれたと思っていた。同居人のユーチューバー・一真実は、100万アクセスを誇るバイセクシュアルで虐待を受けていた彼女が養護施設に預けられた時、「一緒に戦おう」と真央が声を掛けたことで友人になった。
     物語は、隣室の夫婦が離婚をするしないで揉めているのを聞いた真央が一真美と組んで離婚阻止を狙うのだが、一真実の誘いで集まった応援団メンバーを裏切ることになってしまった。というのも真央の聞いた会話は彼女が未だ母胎内の胎児であった3か月頃からの記憶を幻聴として聞いていたからである。即ち隣室は、現在無人であった。
    而も父・丞は無精子症で母・美心都に子は出来ないハズなのに、真央は生まれた。真央の実の父は、母の夫では無く、夫の兄・壱であったのだ。そのことに気付いた丞は包丁を持ち出し、妻を刺そうとした、もみ合ううち母は丞の腿を刺してしまい刑務所に入ることになった。
     ところで、離婚をさせないという名目で集まったメンバー達は、精神疾患に病む真央を支える為に結束することになるが、その中には壱も居た。だが、彼は最後迄、真央の実の父である事を明かせない。
     以上がメインストリームである。このストーリーにひょっとするとプロの格闘家になった選手たちの秘められたトラウマが投影されているかも知れないと考えたのだ。
     作劇的に難を感じたのは、中盤迄の大家の科白である。女子プロレスファン向けにチャラけた科白で笑いを獲りにいったのだと思うが、演劇の科白としては洗練度が低く序盤で演劇ファンを呆れさせてしまう。もう少しデリケートな科白にするなり、大幅に科白を変えて物語全体のトーンに合わせるなり、或いは観客をビックリさせて作品に引き込むなりの工夫が欲しい。

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    2019/04/07 20:57

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  • 皆さま
    ハンダラです。
    お疲れさまでした。追記しておきましたので
    ご笑覧下さい。皆さまの増々のご活躍、ご壮健を
    祈っております。
                       机下

    2019/04/08 20:30

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