丹青の仇討ち屋-誉田屋の巻- 公演情報 深川とっくり座「丹青の仇討ち屋-誉田屋の巻-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     落ち着いた演技、練られたシナリオ、ドンデンもグー。

    ネタバレBOX


     舞台美術は書割や大道具、黒布などの目隠しを用いて極めてスピーディーに而も的確に場転が行われるので観劇の邪魔にならないのは見事。脚本も中盤迄、定法に則り観客に適度なワクワク感や桁外しを仕掛け上手に引っ張ってゆく。凡庸な劇団なら此処までの芸当で終わる所だが、流石に47回もの公演を打ち尚観客席はほぼ満席という状態をみると、中盤以降は、相当舞台を拝見している自分も本当に引き込まれるドンデンが用意されていて納得させられた。如何にも下町らしいドンデンではあるが、明らかにそれまでの展開とは次元の異なる展開にし遂せている点、更にそれまでの展開で敷かれていたいくつもの伏線が総て見事に集約されていく大団円とハッピーエンドが微笑ましい。無論、このハッピーエンドに至りつくまでにはこれこそ銷魂と思わせる役者(徳三郎役・川島 芽生さん)の名演があり、そのような脚本が在る訳だ。而もこれだけ手の込んだ完成度の高い作品であるにも拘わらず、嫌味が無い。この辺りに下町の劇団の真骨頂がある。同時にタイトルに入っている仇討ちと内容はあまり関係が無いのだが、本当の仇討に関して極めて批評的に優れているのが井上ひさしさんの「犬の仇討」だろう。とっくり座は落語をベースにした脚本を用いているという話だったが、いつか井上さんの作品も演じて頂けたらと思う。今のような時代、アホそのものの為政者を批判する為にも必要なことではなかろうか? 江戸時代の川柳にこんなのがあった。「へへへのへ へへへへへへへ へへへのへ」痛烈! 関東大震災被災率の最も高かったのは、横浜だが、東京で最も大きな被害を受けたのが下町一帯であり、このエリアは1945年3月10日、カーチス・ル・メイ(勲一等旭日大綬章受賞者・時の内閣総理大臣は安倍晋三の崇拝する岸信介の弟・佐藤栄作)指揮による東京大空襲の被災地とピッタリ重なる。

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    2019/04/02 01:17

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