飲み干せダブルスープセット 冷たいももじるスープ&ぐつぐつ闇鍋スープ 公演情報 劇団冷たいかぼちゃスープ「飲み干せダブルスープセット 冷たいももじるスープ&ぐつぐつ闇鍋スープ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     評価が丸っきり違うので別建てで講評したい。[この子より優位に立ちたい]

    ネタバレBOX


     生命の存在形態として♂、♀を比較した場合、どちらがより本質的かを考察すると子を産む♀が本質というか、性差ある生命のプロトタイプだということは、生物学上もハッキリした事実である。母体内で生育する過程を追ってみても、つまり発生学的にみても個体発生が系統発生を繰り返しつつ性差を獲得したりする中で、例えば人間の胎児の場合、♂はある種のオペの結果として男になることが実証されている。鯛は生まれた時は総て♀、矮性に関して有名なのは、チョウチンアンコウやハイエナ(ハイエナの場合♂は、♀に苛められて食物の量を限定される為、成獣になった段階で♀の半分ほどの体重しかない)、また環境悪化でホルモンバランスが崩れると外海ほど海水が程循環しない水域に暮らす貝などは圧倒的に♀が増えることは、バイ貝などでも随分問題にされてきた。これら総ての事実が、存在論的に♀が♂より本質的であることを示している。
     今作に登場するのは、このような条件下で存在し、それがジェンダーとしての男性優位社会下で如何様に評価され、それに対して存在レベルで対応せざるを得ないヒトという生き物の女性というカテゴリーの持つ属性である。当たり前過ぎて言うのも恥ずかしいが、下部構造は上部構造を決定するというテーゼがある。無論、現実はそれほど単純ではないから上部構造が下部構造に影響を与えることはいくらでもある。然しながら、傾向としては前者が大であるのも明らかであろう。今作で描かれる状況の下部構造に性差による存在の軽重があり、上部構造にジェンダーを措定すると、多くの場合殊に日本のようにジェンダー意識が希薄な社会では、上部構造が下部構造に与える影響が大きく、結果、存在としてより本質的な女性は縛りがきつくなる。そのような状況下変えようのない存在レベルでの足掻きは、センチメンタリズムに陥る他無い、という解釈で創られたのが今作ということになろうか。日本女性のジェンダー認識の現時点での限界を示して興味深いと同時に、言語表現に於いても、ジェンダー差異についても日本などより遥かに男女差の少ない欧米の男達にとって日本女性が魅力的に映ることも、即ち欧米の男に日本女性がモテるのも良く分かる気はする。実際、欧米の女の子は強いからにゃ。
     ところで今作には整形の話が出てくるのだが、仮に総てを整形で変えて別人になり得たとしたら? アイデンティティの問題はどうなるのか? 考えてみるのも面白い。プリニエの小説に「醜女の日記」という佳作があるのだが、示唆的ではなかろうか?


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    2019/03/26 01:38

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