満足度★★★★★
言わずと知れたベケットのディストピア作品だが、現在の日本でこの作品を選んで上演することに大きな意味があろう。このセレクト自体にセンスを感じる。舞台美術もシャルターという閉鎖空間を、床に敷かれたカーペットで示し、居住可能空間の狭さを巧みに表現しているし、シェルターに取り付けられた極めて小さな窓も放射性核種への警戒感を如実に表していてグー。更に棺桶紛いの両親が入った箱、その下に撒かれ明るい陽光を浴びた海辺の白浜を喚起するような白い小石群がアイロニカルに反射している様の何という痛々しさであろう! 従者・クロヴが出入りするキッチンは板対角線上に設定されているが、何もセッティングされていない素の空間である。(追記後送)