殺し屋ジョー 公演情報 劇団俳小「殺し屋ジョー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    この公演の魅力は、サスペンスの雰囲気とバイオレンスな演技、その圧倒的な力強さであろう。上演時間2時間20分(途中休憩10分)と長いが、舞台から目が離せないほどの迫力があった。物語性、テーマ性など理屈っぽいことは卑小に思えてしまうほどだ。

    ネタバレBOX

    セットは、舞台となるテキサス州ダラス市郊外、そこにあるトレーラーハウス内。中央に玄関、上手にキッチンや冷蔵庫、下手にソファーやテーブルが置かれている。奥に窓があり、ガラスを通して外の金網が見える。この舞台美術だけでも荒んだ臨場感が漂う。それに加え、雨、雷といった不穏な音響、薄暗い照明が不気味さを増す。もっとも照明の暗さは別の意味もあるが…。

    梗概…登場人物は5人(スミス一家、父アンセル、継母シャーラ、妹ドティーの3人が住んでおり、兄クリスは実母と一緒に別の場所に住む)。この人物たちのキャラクターがしっかり描かれ、濃密な会話が繰り広げられる。実母のせいで借金を抱え命が危なくなった兄クリスは、実母の多額の保険金を目当てに父アンセルと共謀して母の殺害を企てる。その依頼を昼の顔は警官だが裏の顔は殺し屋であるジョーにするが、思わぬ事態に展開していく。

    5人の演技とそのバランスは見事で、エロチックでありバイオレンスという人間の本性を曝け出すようなもの。その表現・迫力は圧倒的で観客の目をくぎ付けにする。また表面的な迫力だけではなく、父の優柔不断のような性格、継母のしたたかな思惑や媚情、妹の純粋かつ惚けた行い、兄の歪んだプライド、そしてジョーの愛嬌と暴力の二面性など心憎いほどの心情描写。壊れかけた家族が殺し屋という乱暴者によって、歪なまとまりを見せるが…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/03/22 07:12

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