満足度★★★★
四畳半から宇宙を見る的バイバイの劇世界を、大舞台と著名役者、音楽コラボという従来とは異質な条件の中に見事花開かせていた事に感服した。岩井氏をアーティストと認識した舞台。ただし彼の終生持ち続けるだろうモチーフに真正面から、脳ミソを総動員して恐らく結語に到達しなかった。描いていく先が曼陀羅に見えたのではないか、飽和状態になった岩井氏の脳内を想像した由。それでもこの世界に浸った幸福感は大きい。過去作「ポンポン」に見た子供世界の大人顔負けのシビアさ、瑛大、松尾、松、それぞれの人生の(つまり生き方の)形、人間としての形が、歪にゆがんでしまう過程が露悪でなくよく判り胸に落ちて来る。
「なむはむだはむ」でしか知らなかった前野氏の音楽だが起用に納得。