満足度★★★★
鑑賞日2019/03/14 (木) 14:00
座席1階
パンフレットで加藤健一が、ブロードウエイのロングランにあたる再演だと書いている。ブロードウエイのロングランは、評判が良くてチケットが売れるからそうなるわけだが、カトケン事務所が再演をしてきたというのは、ブロードウエイのロングランに相当する自信作、ということなのでしょう。
前回の「Out Of Order」とは違って大爆笑の連続で楽しませてくれるカトケンワールドではないが、本来は見ることができない演劇の舞台裏の人間関係などをこの戯曲の経糸として楽しむことができる。さらに、カトケン演じる主役の往年の名優の夫婦関係が横糸になる。酒浸りになり落ちぶれた盟友を支える妻を演じるのが竹下景子。これもパンフレットに書いてあったのだが、小田島恒志、則子の二人の翻訳家が苦労したという1950年代アメリカのちょっと微妙に含蓄のあるセリフ。舞台で実際にそのセリフを聞いてうーんなるほどと感じ入ってしまうのは、翻訳の妙も当然あるけど、やはり経験値の高い女優、竹下景子ならではのせりふ回しなのではないか。
Pカンパニーの林次樹、ワンツーワークスの奥村洋治と、おおっと思う俳優たちによる座組も興味深い。新人女優役の寺田みなみは、カトケン事務所公演のボランティアスタッフをしていた経験もあるというから、その下積み経験を土台とした晴れ舞台に拍手。
休憩をはさみ約3時間とやや長いが、納得のいく舞台だった。