SWEAT 公演情報 劇団青年座「SWEAT」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    製造業が海外へ流出していくグローバル化の時代に、アメリカ中西部の労働者たちの苦悩と不満のマグマをほとばしらせた舞台。親友だった3人の女性工場労働者(うち一人が黒人)が、そのなかの黒人女性の昇進から妬みが生れ、関係がきしみはじめる、そこに工場のメキシコ移転と人員整理・賃金カットが持ち上がり、その汚れ役を黒人女性が担わされて関係は完全に決裂。続いて息子たちに焦点が移り、かれらは工場移転やスト破りに対して暴力的な行動へ走っていく。そして……。

    2000年のスト騒動の1年間を中心に、つかみの「入り口」として、2008年に息子たちが刑務所から出てきた後日談をカットバックする戯曲の構成が見事だ。物語の展開も、人間関係の変化も簡にして要を得ていて、よくわかる。上に書いたように、芝居の軸が少しずつ(三段階に)ずれていきながら、全体として円環をなす。多少図式的なところはあるが、現実がそうなのだから仕方がないだろう。セットのチェンジが多いのだが、テンポを妨げなかった。スタッフさんお疲れ様でした。
    2時間50分(休憩15分込み)と、長いのだが、全く飽きなかった。

    ネタバレBOX

    観劇しながら、日本のことを考えた。と言っても、人種問題は日本では難しいな、というようなことではない。
    アメリカのラストベルトの白人労働者たちの不満がトランプ大統領を生んだという。しかし、彼らはこの芝居の登場人物のように、工場閉鎖に反対してストをやり、ピケを張りたたかっている。日本では、日産ゴーンが何万という人員整理をやっても、ストもピケも何も起きていない。

    もちろん、ジェイソンやクリスのように、アメリカの労働者たちは、たたかったが故の犠牲も大きかった。日本は解雇されてもまだ退職金積み増しや、転職先のあてがあって、追い詰められていないのだろうか。たたかうアメリカとおとなしい日本と、はたしてどっちがいいのか。彼我の違いを考えさせられた。

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    2019/03/10 22:13

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