満足度★★★★★
■約120分■
家族でもないのに決裂もせず長年ともにあり続ける集団を、結成30年のMONOにやんわりと重ねて描いた人間ドラマ。フライヤーには「擬似家族」という語も出てくるけれど、そんなドライな言葉を用いるのがためらわれるほど、劇中の人間関係は濃密で温もりに満ち、愛すべき面々の人間であるがゆえの失態や小競り合いは失笑、苦笑、大笑とあらゆる種類の笑いを誘って、最後まで惹きつけられた。
近年のMONO作品では最も社会派色が弱く、そこに物足りなさを感じる向きもあろうけれど、観る者の心と目頭をここまで熱くさせてくれれば、私としては満足、惜しみなく★★★★★を差し上げたい。
社会派色の薄さと並ぶ本作のもう一つの特徴は、土田劇にしては珍しく、ひねりを欠いたクサいセリフが目立つこと。とはいえ、本作のごとく、その言葉を吐くに至るまでの話者の感情の軌跡が繊細かつ丁寧に描いてあれば、クサいセリフもストンと腑に落ち、胸に沁みてくるのだなぁ~~。。。