満足度★★★★
鑑賞日2019/03/06 (水) 19:00
座席1階
熱量のある舞台だ。米国の作家による作品を小田島氏が訳し、青年座らしい完成度の高い戯曲に仕上げた。
ラストベルトと呼ばれる、かつては活気があった工場城下町。移民国家アメリカでは誰もが夢を持ち、よりより生活を目指して働く。ところがITバブルが弾け、より労働単価が安いメキシコなどに工場を移転する動きが強まり、労働者たちは分断され、お互いの仲間を傷つけあっていく。うまく回っていたころはあまり表に出なかった肌の色による差別、中傷。仕事を後から来た移民に奪われる怒り、恐怖。社会は分断され、荒れ果てていく。
実際の取材に基づくリアルな話だけに、迫力がある。外国人労働者を安価な労働力として受け入れようとしているどこかの国への、警句であるようだ。
本来は青年座のアトリエ公演で行われる舞台だったと思うが、今回は下北沢駅前劇場の小空間で。しかし、初日の舞台はとにかく客席が暑かった。休憩込みで3時間に及ぶだけに、もう少し空調だけは何とかならなかったものか。とても引き込まれるいい作品なのだが、結構辛かった。