満足度★★★★
とある町役場の要望受付部署を軸に、喫煙者の権利から、人間の善のあり方までを俎上に載せていく対話劇。最初は「喫煙者は出世できないのはおかしい」「教え子と結婚することは教師としてよくないのか」という、矮小な偏見が問題だった。しかし、再生可能エネルギー問題を経て、後半、異常気象による洪水で孤立した役場で、人間の生きるか死ぬか、尊厳をかけたギリギリの選択を迫られる。この強引な展開はすごい力技だ。
登場人物相互が子供時代や男女関係の過去でつながっているところが、議論に感情的な陰影と人間味を加味していて良かった。
孤立していく正義派を龍座さんが、その硬直した滑稽みも含めてよく出していた。「奇行遊戯」でも反捕鯨派テロリストを演じた樋田洋平さんが、今回も偏執的に前のめりな人間を熱演していた。二人のぶつかりあう迫力に圧倒された。寂しい教師の森田匠さんもよかった。