満足度★★★★
OM2は近年の二作品を目にしたが、同じ会場(日暮里SunnyHall)で全く異なる趣向。挑戦的な表現形態の背後、遥かに霞む山の如く臨めるメッセージ性の重層感があった。が、抽象性が高く過激化する要素を孕む印象。個人的には応援したい部類だが今回なんと「演劇」の聖地(私の勝手な命名)、我らがスズナリでやるという。
OM2 in スズナリの図が全く浮かばなかったが、良い感じの予測の裏切り方に「地点」が過った。両者全く異質だが。
劇場に入るとほぼ一面に段ボール箱が積まれ(大小様々で銘柄入りの古いやつが巧みに隙間なく壁化され)、白抜き升目の画像が映写され全体を覆っている。
やがて中性的少年的佇まいの喋らない役者が現れ、椅子で読書を始めると加工された段ボールから同じボール紙色の筒がにょ~と飛び出て、脱力な・時に熱い断続的な喋り。紙をペタンめくって今や顔を晒し、ガヤガヤ、不条理演劇風の始まりだが、やがて風景が一変。ここまでの序盤の迫力は申し分ない。
ただ、客席で受け止めた破壊的エネルギーに転換した感情の背景を倒置法的に説明して行く中~後半、少し別の局面が見えたかったのは正直なところ。
熱が高まる後半、憲法条文が文字表示や群誦で混じるが、条文を印籠の如く差し出すニュアンスが混じるとこれは面白くない。それはOM2のコアな部分である佐々木敦のパフォーマンスに、彼が登場人物を担った具体的エピソードに留まらないイメージを喚起できるかに大きく左右され、私に見えた部分が全てだとすると佐々木氏の時間は長い。私の希望は時間を削る事でなく、彼(に仮託された人物)が受けた凌辱が質的に持ち得る位相がパフォーマンスによって広がってくる事だ。
象徴的表現というものに的確か否か(正解)など無いのかも知れないが。。