幕が上がるなら 公演情報 演劇商店 若櫻「幕が上がるなら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初日観劇。当日は雨が降り肌寒い日であった。
    タイトルから推測できると思うが、劇の幕が上がるまでの自信、いや自身劇といった物語。立場によるキャラクー設定の面白さは、経験的な発想だろうか。誇張しているが、そのリアリティは観客までもハラハラドキドキさせる臨場感…本公演を通して楽屋裏を見る楽しさを堪能した。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは楽屋という設定で、上手側に小道具が置かれている台、ほほ正面に衣装が吊るされ、下手側奥に別場への出入り口や雑多な棚等がある。舞台への通路が2箇所ありそれぞれ表示が書かれており、初めて知った。ちなみに、置かれている小道具は劇中劇「ロミオ&ジュリエット」ですべて使用するという拘り。

    物語は劇団「万歳一礼」内での不協和、アクシデントや思わぬ人物によって掻き乱されるといった騒動をテンポよくコミカルに描く。演劇…観客にとっては日常の中の非日常空間であるが、演じている役者にとっては、それが日常茶飯事のことである。それだけに手馴れた感じである。
    物語の所々に小演劇に携わる面白さ、醍醐味が語られるが、一方生活は潤わず苦しいとの本音もチラリ。表層はコミカルであるが、演劇への「情熱」と「生活」という夢と現実が交差するような悲哀(30歳という微妙な年齢も関係)も感じられる。その意味で飄々とした劇風の中に骨太さが垣間見られる。

    物語は照明担当のスタッフが産気づき病院へ行き、その夫が手伝いに来るが劇関係の経験はまったくない。しかし本人はやる気満々で「さあ、何から始めましょうか」と言うが、この件が少し長く身内受けのように感じた。この人物は唯一劇関係者ではなく、一歩引いた立場で見ており、その人物がドタバタ騒動にも関わらず演劇(裏方も含め)の面白さを実感していく。だからこそ冗長にならず心地良いテンポを意識、継続してほしかった。公演全体を通じて演劇-小演劇への愛情に溢れた作品であることが分かる。

    観劇後、外に出ると雨が止んでおり、このタイトルに似た「雨あがる」という映画を思い出した。それは、浪人が雨で川を渡れず足止めされるが、雨上がると晴れやかな気分で…本公演はそんな思いを抱かせる好作品であった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/02/20 23:49

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