満足度★★★★
1幕は寝てしまった。メロディーなし、不安と混沌の現代音楽はやはり難解。しかし、血が次々流される舞台は結構わかりやすかった。幕間にパンフで作曲家ノートをしっかり予習して臨んだ2幕はよくわかった。緊張感と緩急のある2幕だった。
ただ、平安貴族の生活をもとに無と悟達の境地に至る世界は、オリエンタリズムの東洋理解のステレオタイプではないか。抽象的な現代音楽で描くには、こういう象徴的世界が合うのはわかる。それでも、世界に発信する日本オペラというと、能や禅の「東洋的神秘」をネタにするのはもうやめたらどうか(今回は能がネタではないけれど)。沖縄や高齢化など現代日本の矛盾と苦悩をとらえたオペラを見たい。