満足度★★
「難解な作品をやれば役者として評価されるのではないか?」的な、
事務所さんの意図が見える様で、本当にこの作品を現代にやる必要はあったのだろうか。
誰かこの作品を心から現代に伝えたいと信じて作られた舞台だったのだろうか。
確かに普遍的なメッセージ性は含まれていた様に思う。
栄光に彩られた前途有望なサッカー選手の主人公が、戦争という時代の波に飲み込まれ、
そこで怪我をし選手としての将来を奪われ没落し、更に人間としても歪んでしまい、
周りの人達からも敬遠され、もがき苦しみ、愛を失い、それでも尚生きて行かないといけない…
人生の、戦争の虚無な事は存分に伝わった。
2章の人形劇による戦争表現、歌のシーンなどは確かに印象的であり、
3章の病院でのシーン、車椅子は何故舞台面が傾けられて作られていたか理解出来た。
4章のダンスホールでのシーンは、1章との対比で栄光の反対には没落がある事が痛いほど分かった。
ただ…どうなんだろうか、この作品はそれらを本気で伝えたかったのだろうか?
その辺りが正直よく分からなかった…
あと、どうやらそれがこの事務所さんの役者さんに対する「定番」みたいなのだが、
この作品で、あの空気感で静謐に終わった作品に対してトリプルアンコールをして、
更に千穐楽でもないのにスタンディングオベーションまでやっていた観客はやり過ぎと感じた。
私のただの私見でしかないのだが…違和感というか感覚のズレを感じてしまった、申し訳ない。